【医療ニュースPickUp 2015年12月3日】バイアグラとの類似成分を含む製品 無承認医薬品としてみつかる
2015年12月1日、厚生労働省は「医薬品成分を含有する無承認医薬品の発見」について、千葉県からの報道発表資料を公開した。この資料は千葉県健康福祉部薬務課により作成されたもの。公表されている資料によると、危険ドラッグによる健康被害の未然防止の目的で、平成27年9月にインターネットの販売サイトから20製品を購入し、千葉県衛生研究所で分析を行った。そのうち2製品から、医薬品成分である「ヒドロキシチオホモシルデナフィル」が検出されたという。
製品の外観やパッケージも類似
これらの2製品は、製品名や、販売していた業者の名称が異なるが、いずれも埼玉県川口市の販売業者から販売されており、製品の外観やパッケージもよく似ている。
当該製品の販売サイトでは、「経口摂取」を暗示する表現がなされていたとのことだが、医薬品成分を含有し、経口摂取するものは「医薬品」とみなされるため、本来は医薬品としての承認および許可を受ける必要がある、と指摘している。
今回問題となった「ヒドロキシチオホモシルデナフィル」は、日本国内外では医薬品としての承認はない。しかし「シルデナフィル」という成分と類似の化学構造を有する物質とされていることから、作用機序や効果、副作用の面などでの類似性があると考えられる。
現在、国内で承認されている「シルデナフィル」は、一般名を「シルデナフィルクエン酸塩」といい、販売名では「バイアグラ錠」となる。
「バイアグラ錠」の適応と主な副作用は、次のとおり。
- 適応:勃起不全
- 副作用:血管拡張、頭痛、動悸
- 添付文書上の警告:高血圧及び狭心症の薬である硝酸剤あるいは一酸化窒素供与剤(ニトログリセリン、亜硝酸アミル、硝酸イソソルビド等)との併用により降圧作用が増強し、過度に血圧を下げることがある。
これらの製品に関係するとみられる健康被害事例は現在のところ報告されていないが、千葉県では、この製品の使用の速やか中止を求めるとともに、これらの製品が原因と疑われる症状がある場合には、速やかに医療機関を受診するよう、注意喚起を行っている。
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
時々、こういった「本来は医薬品としての承認が必要な成分」にまつわるニュースを見かけますが、今回の製品は「バイアグラの類似品」になるのでしょうか。
数年前には、見た目がそっくりな「偽造バイアグラ」が、インターネットで販売されていたことが問題となりました。現在でも「バイアグラ正規品の見分け方」などというサイトが、かなり多く公開されています。
実はこれ、数年前から調査の対象となっており、平成21年ころからは「メンアップ」あるいは「萬美BANBI」という名称で、横浜市や千葉県、埼玉県などでみつかっています。
厚生労働省が公表している資料によると、バイアグラの類似品といわれる成分は、27もあります。そのうちのいくつかは、健康被害が出ているものもありますので、注意が必要です。
今回の2製品も含め、多くの場合は「原産国不明」なのですが、分かっている物の中には、中国原産のものが多いですし、材料だけ中国から仕入れて、日本で製造されているものもありました。ほかは、タイやマレーシア、台湾、アメリカなどのようです。
こういった「本来は医薬品の承認が必要だけど無承認の類似品」は、今回のような「バイアグラ」に近いものや、ダイエットに関するものが多いようです。どうしても必要なら医師からの処方を受ければ良いはずですが、プライバシーに関係するものだと、なかなか医療機関で、というのも難しいのでしょうか。
人の弱みに付け込んだようなこういう商売は、無くなって欲しいですね。
この記事をかいた人
医師キャリア研究のプロが先生のお悩み・質問にお答えします
ツイート