【医療ニュースPickUp 2017年9月22日】90歳以上人口が初めて200万人突破。働く高齢者は770万人と過去最高へ
2017年9月17日、「敬老の日」を前に総務省は、高齢者に関する統計情報を発表した。
2017年9月15日現在の推計で、高齢者人口は3514万人で、前年より57万人増加した。
1950年以降、その数は一貫して増加し続けている。
一方、日本の総人口は1億2671万人となり、前年より21万人減少。
2008年をピークとして、減少傾向が続いている。
総人口に占める高齢者人口の割合は過去最高の27.7%となり、先進7カ国(G7)の中では最も高い。
2位イタリアの23.0%とは4.7ポイントの開きがあり、最も低い米国は15.4%となっている。
また、日本国内の90歳以上人口は206万人に達し、初めて200万人を突破した。
100万人を超えた2004年から13年間で倍増したことになり、その数は総人口の1.6%を占めており、アメリカ(0.8%)の2倍となった。
世界最高の高齢化率となった日本。
国立社会保障・問題研究所の推計では、高齢者の割合は今後も上昇を続け、1971~1974年に生まれた第二次ベビーブーマーが65歳以上となる2040年には、35.3%になると見込まれている。
少子高齢化が進む中、働く高齢者の数も13年連続で増加しており、2016年には770万人と過去最多となった。
就業率で見ると、15歳以上の就業者全体に占める高齢者の割合は過去最高の11.9%。これもG7においては最も高くなっている。
高齢者の就業率を男女別に見ると、男性が30.9%、女性が15.8%と、共に5年連続の上昇。働く高齢者のうち、役員・自営業者などを除くと400万人で、そのうち301万人、4分の3はパート・契約社員など非正規の職員・従業員であり、特に非正規は2006年の112万人から10年間で2.5倍と、その増加が目立つ。
高齢者が非正規となった主な理由は、男女ともに「自分の都合のよい時間に働きたいから」が最多。
なお、女性は「家事・育児・介護等と両立しやすいから」が7.0%だが、男性は0.7%となっている。
高齢者を労働者として受け入れる企業も増加してきている。今後も高齢者の労働市場における役割は、徐々に大きくなっていくことだろう。
参考資料
総務省統計局 統計トピックスNo.103
統計からみた我が国の高齢者(65歳以上)-「敬老の日」にちなんで-
http://www.stat.go.jp/data/topics/topi1030.htm
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
少子高齢化に関係するニュースは留まるところを知りませんが、日本の少子高齢化はどこまで進むのでしょうか。
最近、街中で人の動きを注意深く見ていると、確かに高齢者の方を多く見かける気がします。
例えば、朝の公園で掃除をしている方、朝の横断歩道で子どもたちを誘導している方、こういった動きをしている方たちはボランティアかもしれません。
しかし、スーパーでカート移動をしている方、コンビニエンスストアでレジにいる方など、被雇用者である高齢者も増えていると実感します。
こういった「今までとは違う職種でがんばる高齢者」が増えているのは事実だと思いますが、一方で「働くことを辞められない高齢者」もいます。
ここ最近、いくつかの展示会等でブースに立つ高齢者の方を見かけました。
また、小さな工場などでは今でも70歳、75歳の方が働いているところがあります。
かれらはいわゆる「職人」であり、技術の継承が上手くいかずに自分と同じ精度のモノを作り出すことができない、後継者が出来たのは良いが今までのやり方(主には手作業の部分ですが)を変えようとして上手くいかなかったなど、「引退したいけど出来ない」高齢者の方のお話を伺う機会がありました。
元気な高齢者が増えることは良いことだと思いますし、少子化による「労働力の低下」を元気な高齢者で補うのはあり得ることだとは思います。
しかし、一部ではこうした「自分が辞めるときは工場(会社)を閉める時」という世界もあるのです。
医師の世界でも「おじいちゃん先生が辞めたら、このクリニックは閉鎖」というところもあるでしょう。
子ども世代に引き継いだ途端に、患者数が激減することも良くあることです。
それまでに培ってきた技術や信頼を、どうやって若い後継者に引き継いでいくのか。
日本の抱える大きな課題なのかもしれません。
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