【医療ニュースPickUp 2016年3月26日】厚生労働省が診療ガイドラインを改定 ジカ熱対策を追加
2016年3月18日、厚生労働省は自治体、医療機関向けに「蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第2版)」(以下、ガイドライン)を公表した。このガイドラインは「第 1 版:デング熱及びチクングニア熱の診療ガイドライン」として2015 年 5 月 22 日に公表されていたが、今回、ジカ熱についての記述を追加したものとなる。
重症化する場合は入院治療が必要
ガイドラインでは、「チクングニア熱及びジカウイルス感染症を媒介する蚊は、主にネッタ イシマカ(Aedes aegypti) とヒトスジシマカ(Aedes albopictus)」であり、日本での感染については、ヒトスジシマカが媒介するとしている。
●デング熱を疑う患者の症状
- 発熱 かつ
- 以下の所見の2つ以上を認める場合:発疹、悪心・嘔吐、頭痛・関節痛・筋肉痛、血小板減少、白血球減少、ターニケットテスト陽性、重症化サイン
●チクングニア熱を疑う患者の症状
- 発熱及び関節痛、全身倦怠感、リンパ節腫脹、頭痛、筋肉痛、発疹、関節炎、 悪心・嘔吐など
●ジカ熱を疑う患者
- 発疹又は発熱(ほとんどの症例で、38.5 度以下)
- 以下の症状のうち少なくとも一つ:関節痛、関節炎、結膜炎(非滲出性、充血性)
- 流行地域への渡航歴
いずれの感染症も、確定診断のためには、ウイルス分離、RT-PCR 法によるウイルス遺伝子の検出、特異的 IgM 抗体の検出、中和抗体の検出等が必要となる。これらが実施できない、あるいは実施しても陰性または判定不能である場合は、最寄りの保健所に検査の相談を行うことができる。
また、確定診断がなされた場合は、いずれの感染症も「第4類感染症」に指定されているため、届け出が必要となる。特に妊婦に対してジカ熱の確定診断がなされた場合は、胎児に対する「先天性ジカウイルス感染症」も疑い、評価を行う必要がある。
現在のところ、いずれも対症療法(輸液療法、解熱鎮痛薬投与)が基本となっており、重症化する場合は入院治療が必要となる。
参考資料
厚生労働省 蚊媒介感染症の診療ガイドライン(第 2 版)
http://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/kekkaku-kansenshou19/dl/dengue_fever_jichitai_20150421-02.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
3月22日に、厚労省は「神奈川県に住む女性が、ジカ熱を発症した」と公表しました。厚労省によると、ブラジルへの3週間の滞在歴があり、3月上旬に帰国後に発症したとのことで、今回で国内では3例目の発症例となります。
これだけ「渡航を控えるように!」と言われていても、やむを得ず(と、思いたい)渡航しなくてはならない状況にある人もいる、ということですよね。行くなら行くで、蚊対策を万全にしないといけないといけません。
現在のところは、この女性の容態も安定しているようですが、確定診断は国立感染症研究所での検査が必要だったようです。現在は日本での「ヒトスジシマカ」の活動はほとんどない時期ではありますので、感染が拡大するリスクは「極めて低い」そうですが、「ヒトスジシマカ」の成虫が活動を始める時期まで、あと1月あまりなわけですから、早いところワクチンとかできないかなと思います。
先日、家の周囲を片付けていたら、「ずっと水が溜まっているところ」って、結構あるということに気づきました。もちろん、その場で対処はしましたが、特に気になったのが、植木鉢です。そのままの状態で置いても、さかさまにしていても、ほんの少しですが水が溜まる箇所があります。
これらにビニールをかけている人も居ると思いますが、今度はそのビニールにも水が溜まることがあります。今のところは蚊の幼虫らしきものは居ませんでしたが、もう少し暖かくなるとどうなるか分かりません。こういう自衛手段も、必要になりますね。
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