【医療ニュースPickUp 2015年10月9日】 インフルエンザ感染
冬の感染症のシーズンが始まった。国立感染症研究所(以下、NIID)では、2015/16シーズン(以下、今シーズン)の「インフルエンザウイルス分離・検出速報」が掲載されている。
茨城県では既に感染者が
これによると、今シーズンはすでに、インフルエンザA型(H3、H1(季節性)、H1(pdm09))が19件、B型(山形系統)1例の分離・検出が確認されており、茨城県ではすでに6件以上のH3型が確認されている。
10月に入り、インフルエンザの予防接種を開始した医療機関も増えているが、例年の分離・検出状況から鑑みて、今後1~2カ月程度の間に、感染者が急増することが予測される。
2014/2015シーズン(以下、昨シーズン)は、46週~47週あたりから分離・検出数が100を超えており、そのほとんどがインフルエンザA(H3)型だった。ここ数年は似た様な傾向だが、2013/2014シーズンでは、インフルエンザA(H1)pdm09が半数以上を占めていた時期がある。今シーズンはインフルエンザA(H3)型の方が多いようだが、これからの動向が注目される。
定点当たりの報告数をみると、2015年 第37週(9月7日〜 9月13日)の時点ですでに、沖縄県137、愛知県32、東京都30となっており、全国で347の、インフルエンザ報告例があった。
一方、冬に多い感染症であるRSウイルスは、すでに流行が始まっている。RSウイルス感染症は例年、季節性インフルエンザに先行して夏の終わり頃より始まり、秋に入ると患者数が急増する。ピークは年末ごろだが、春まで流行が続くことが多い。
今シーズンは、すでに8月下旬から患者報告数が増加し始め、9月より過去数シーズンと同等レベルまで、報告数が増加している。2015年第37週(2015年9月7〜13日:9月16日現在)の患者報告数は2,652例、前週の2,083例よりも増加した。
都道府県別でみると、37週の時点で報告数が多い上位3都道府県は、福岡県(304)、東京都(247)、大阪府(162)であった。RSウイルスの流行開始時期は、九州地方がもっとも早く、南・西日本から東日本へと推移する傾向にある(亜熱帯地域の沖縄県は、他の都道府県とは異なり、夏期にピークがある)。
第28週から第32週までの上位3都道府県は沖縄県・鹿児島県・ 福岡県であったが、第33週は福岡県・鹿児島県・山口県、第34週は福岡県・鹿児島県・宮崎県、 第35週は福岡県・鹿児島県・東京都、第36・37週は福岡県・東京都・大阪府となっており、 例年と同様に、南・西日本から始まった流行が、東日本へと拡大していることが分かった。
参考資料
国立感染症研究所 IDWR 2015年37号
http://www0.nih.go.jp/niid/idsc/idwr/IDWR2015/idwr2015-37.pdf
同上 週別インフルエンザウイルス分離・検出報告数、2011/12~2015/16シーズン
http://www0.nih.go.jp/niid/idsc/iasr/Byogentai/Pdf/data2j.pdf
同上 都道府県別インフルエンザウイルス分離・検出報告状況、2015/16シーズン
http://www0.nih.go.jp/niid/idsc/iasr/Byogentai/Pdf/data1j.pdf
【医師紹介会社研究所’s Eye =記事への所感=】
メディアなどで「インフルエンザはすでに感染例が出ています」などというニュースを目にしましたが、こうして数値でみると、「あー、今年も来たか」と、何だか憂うつになります。これからおよそ半年間は、色々と気を付けることが増えそうです。
RSウイルスについては、すでにだいぶ拡がっているようです。RSウイルス感染者を年齢別にみると、0歳が43%と最も多く、次に1歳が34%で、3歳以下が全体の95%、5歳以下が99%を占めた、とあります。うちにはもうすぐ3歳の子どもがいますので、まだまだ注意が必要です。
もう1つ、冬に気を付けるのがロタウイルスですね。まだ流行といえるほどではないようですが、すでに感染例が出始めているようですので、こちらも気を付けなくてはいけません。
秋といえば、高校・大学での文化祭や、小学校では「フェスタ」と称するお祭りごとが開催されるところも多いのではないでしょうか。うちの子供の小学校でも、11月にフェスタが予定されており、食べ物のブースが出ます。これに対し、保健所からは「手洗いの励行」とか「下痢・嘔吐の症状がある人、あるいは家族にこれらの症状がみられる人は、食品の取り扱いをしないこと」というお言葉がありました。
当然といえば当然なのですが、こういったことのリテラシーは、個人によってレベルの違いがありますので、指導する方も大変です。せっかく手洗いしても、自分の服やエプロンで拭いてしまう人もいますし、家族に下痢・嘔吐の人がいても、黙って参加する人もいます。
「集団感染」が、起こらないことを祈るばかりです。
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