【医療ニュースPickUp】2015年1月16日
医療にまつわる気になるニュースを当研究所独自の目線で掘り下げて記事にしている「医療ニュースPickUp】。このコーナーでは、まだ大手マスメディアが報道していない医療ニュースや、これから報道が始まるだろう時事的医療ニューストピックを、どこよりも半歩素早く取材・記事化していくコーナーです。
平成27年度 医療保険制度改革の骨子案が決定 患者申出療養(仮称)創設へ
2015年1月13日、政府の社会保障制度改革推進本部(本部長:安倍晋三首相)は、医療封建制度改革の骨子を決定した。今月下旬に始まる通常国会に関連法案を提出する方針。
この骨子では、大きく11の項目についての骨子案がまとめられている。
- 国民健康保険の安定化
- 高齢者医療における後期高齢者支援金の全面総報酬割の導入
- 協会けんぽの国庫補助率の安定化と財政特例措置
- 医療費適正化計画の見直し
- 個人や保険者による予防・健康づくりの促進
- 院時食事療養費等の見直し
- 紹介状なしで大病院を受診する場合等の定額負担の導入
- 所得水準の高い国保組合の国庫補助の見直し
- 後期高齢者の保険料軽減特例(予算措置)の見直し
- 標準報酬月額の上限額の見直し等
- 患者申出療養(仮称)の創設
中でも医療との関連が深いと考えられるのが「11.患者申出療養(仮称)の創設」だ。
現状では実施年度は平成28年度からとなっているが、国内未承認の医薬品等がより迅速に使用できる可能性がでてきた。
骨子案では、「患者からの申出を起点とする新たな保険外併用療養の仕組みとして、患者申出療養(仮称)を創設する、となっている。
これは、国内未承認の医薬品等を、迅速に保険外併用療養として使用したい、という患者からの要望に応える形の仕組みとなる。
実際の仕組みは大きくわけて2つ、この制度を利用して初めての医療を実施する場合と、すでに前例がある場合に他の医療機関が実施する場合とに分かれている。
<この制度を利用して初めての医療を実施する場合>
まず、患者自身がかかりつけ医などを通じて申出を行った場合、かかりつけ医等は臨床研究中核病院または患者申出療養(仮称)についての窓口機能を有する特定機能病院への申出を行い、それらの機関を通じて国への申請が行われる。
その後、患者申出療養(仮称)に関する会議により、安全性、有効性、実施計画の内容などについての審査が行われる。申請からおよそ6週間で、患者からの申出があった治療を実施することができるようになる。
但し、医学的判断が分かれる場合なお、6週間で判断できない場合には、全体会議による審議も行われる。
<既に患者申出療養(仮称)としての前例がある医療を他の医療機関が実施する場合>
まず、患者がかかりつけ医などと相談し、実施を希望する場合は身近な医療機関へ届け出て、その医療機関が前例を実施した臨床研究中核病院へ申請を行う。前例を実施した臨床研究中核病院では、国が示す考え方を参考にしながら患者に身近な医療機関の実施体制を個別に審査し、実施が可能と判断した場合は、速やかに地方厚生局への届出を行う。
原則2週間での実施も可能となる。
現在の日本では、新しい医薬品の申請から認可までは、9か月から12か月の日数を要する。
例えば海外での使用実績が報告されている医薬品等の使用を患者が希望しても、実際に使用できるまでには相当の時間が必要、というのが現状だ。この制度がス
タートすれば、患者は安全性や有効性に対する審査をある程度クリアーした医薬品を、数週間という短期間の後に使用できるようになる。これは治療方針の選択として既存の治療法が適さない病状の患者にとって、朗報といえるのではないだろうか。
参考資料
首相官邸 第3回 社会保障制度改革推進本部 議事次第 医療保険制度改革骨子(案)
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/dai3/
同上 平成27年度 社会保障の充実・安定化について
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/dai3/siryou4.pdf
同上 医療保険制度改革骨子(案) 付属資料
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/dai3/siryou2-2.pdf
同上 社会保障制度改革のスケジュール等について
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/shakaihoshoukaikaku/dai3/siryou3.pdf
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